セミナー参加レポート ~日本VFX業界の未来を考えるシンポジウム 「どうする、どうなる日本のVFX業界」~
2011年11月5日、6日にデジタルハリウッド東京本校で開催された、
鍋 潤太郎さん、溝口 稔和さん主催のセミナーに参加させて頂きました。
2日間に分けてレポートしたいと思います。
本日は2011年11月5日(土)に開催された、
~日本VFX業界の未来を考えるシンポジウム
「どうする、どうなる日本のVFX業界」~
についてレポートさせて頂きます。
まず、鍋さんよりVES(米視覚効果協会)の活動内容や
海外のVFX業界の最新動向についての講演がありました。
VESはVFX業界のプロによるプロの為の協会。
20カ国に2,200人もの会員がおり、
VFX業界の待遇や労働条件向上に向けて討論が行われたり、
情報共有がなされているそうです。
そんなVESの活動の一つであるVESアワード。
VFX業界で最も権威ある賞の授賞式で、年1回2月に開催されています。
VESアワードの授賞式の時の写真も紹介され、
非常に広い会場を貸し切って、
百数十人規模で盛大に開催されている様子が写っていました。
次に海外のVFX業界最新動向についても講演されました。
海外では、VESの存在が業界を活性化させ、
次の大きな流れを形作ってゆく中、日本は動きが緩やかで、
世界に遅れを取っている事を痛感しました。
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次に溝口さんからバンクーバーの最新動向について講演がありました。
なぜVFX業界がバンクーバーに注目しているのか。
バンクーバーには税優遇措置の他、人材、タイムゾーン等
様々なメリットがありました。
税優遇措置に関しては、経費の内どの部分が対象になるのか。
どの程度の金額が戻ってくるのか。
さらに、税優遇措置が適用される条件を解説。
プロデューサーやマネージャー向けの内容ですが、
海外で活躍したい方にとっては必要な知識ではないでしょうか。
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最後に秋山 貴彦さんからVFX-JAPANについて
VFX-JAPANを発足させた秋山貴彦さんを迎え、
パネルディスカッションが行われました。
VFX-JAPANとは日本のVFX業界の問題点を改善し、
活性化や興隆を図る事を目的にした団体です。
現在、日本のアカデミー賞にはVFX部門がありませんので、
VFX-JAPANはVESのようにアワードを開催していく予定との事です。
デモリールに関しても海外ではブレイクダウンも収録されていますが、
日本ではタレントが出ているとNGが出てしまったりと、
権利関係で公開出来ないケースが多々あります。
海外ではプロモーション目的ならOKという契約を結んでいますが、
日本ではそのような契約が無かったり、そもそも契約書が無かったりするそうです。
このような日本独自の問題もクリアして行きたいとの事です。
VFX-JAPANには草案ではありますが、様々な目標が掲げられています。
詳細は下記の関連リンクからご覧下さい。
50分程で行われた、VFX-JAPANのディスカッションですが、
まだまだ話が続きそうな感じでした。
第一線で活躍されていた方々が、これからの日本のCG業界の為に、
次のステップを踏み出そうとしています。
日本のCG業界の未来を変えるには、VFX-JAPANの努力だけでなく、
変えたいという皆さんの意識も必要ではないかと思います。
VFX-JAPANのディスカッションに参加出来る機会があれば
是非皆さんも参加してみて下さい。
この日のセミナーでは、世界と日本の差を痛感し、
日本のCG業界の今後について、深く考えさせられました。
世界の大手VFX業界が他国にも進出していく一方、
ガラパゴス化していく日本のCG業界。
世界に遅れを取らないよう、日本独自の問題点を改善し、国際標準化を目指す事。
それが日本のCG業界の将来にとって、重要な事ではないかと思います。
ちなみに小生自身、こういったセミナーに
参加する事は初めてだったので少し緊張しました。
ですが、普段は絶対に聞けないような貴重なお話を聞く事が出来ました。
次回も鍋氏、溝口氏、そしてVFX-JAPANのセミナーが
開催される事があれば、是非皆さんも参加してみて下さい。